総合診療科の日々是好日@大阪

大阪府内の病院で家庭医・総合診療をしています。日々のカンファや学びの内容をブログで紹介しています。「教育なくして成長なし」と日々思います。

2020/08/26 今週のカンファ アパシーと抑うつの違いは?

かなり更新に期間があいてしまいましたが、多忙といったら言い訳になるので、、

継続は力なりで頑張ろうと思います。

いつも研修医の先生がローテしてくれるとそれぞれ個性があって楽しいなと思います。

時にはこれは…厳しい。という難易度高いキャラの人はいますがw

 

さて、カンファで上記が話題になりましたので知識の整理。

臨床的なパールは以下でしょうか。

      • アパシー(apathy)は自発力低下・無気力。BPSDの一つとしてとらえられる
      • アパシーの出現は報酬関連神経回路の障害と関連しており、中脳腹側被蓋部から腹側線条体側坐核)や辺縁系帯状回等に投射するドパミン作動神経が中心的役割を果たしている(2009年の診断基準の日本語訳 PMID 19201579 )

        f:id:chin9501:20200826213552p:plain

      • すべての認知症のステージで起きる
      • 抑うつの人は悲嘆や苦痛を訴える
        • アパシーの人にはそれが本人にはない=病識欠如
        • だから結果として家族が「元気がない、食欲がない」と連れてくる
      • でも認知機能低下が進行するとその鑑別は困難になる
      • 入院患者で意欲がないときに考えるのが、低活動性せん妄・うつ・アパシーの3つの軸。
      • アパシー自体の相関はADL自立度>認知症の重症度と言われていて早期介入が重症(PMID:12154154)
      • 治療としてはコリンエステラーゼ阻害剤が試したことがなければトライをしていいだろう up to date
      • 鬱との鑑別が難しいときにはSSRIは選択肢にもなるが治療自体は難しいことは多い。

実際の診療で感じますが、アパシーは診断も治療も難しいですね。