2020/06/20 指から考えること clinical pictures
私は患者さんを診察するときには手元(or足元)から診察するようにしています。
血管炎や膠原病のヒント、あるいは普段の衛生状況がより反映されているように感じるからです。
自験例で教科書的には当たり前の内容なのですが、
何を基準にするか、それが診断的にどのような意味を持つのかを身体所見では知っておかないと臨床現場では使えませんね。
Schamroth's sign(シャムロス徴候)
ばち指clubbed fingerについて考えてみます。
ばち指をきたす疾患(呼吸器内科 宮城Drより)
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C:チアノーゼを来たす心疾患
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Lu:癌・膿瘍・IP(結核やCHPの肉芽腫性疾患はきたさない)
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b:benign asbbestosis pleural effusion
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b:bronchiectasis
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i:infective endocarditis
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n:neurogenic tumor
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g:GI関連→炎症性腸疾患・肝硬変
ばち指の75%は肺疾患といわれていますが、上記のごろ合わせはとても覚えやすいです。
正常な指は、爪と軟部組織の角度が約160度であるが、ばち指の場合、この角度が180度以上になってきます。
ばち指が起きるメカニズムは十分に明らかにはなっていませんが、血小板由来成長因子(PDGF)などの体液性増殖因子が動静脈シャントによって不活性化が抑制され、結合組織の過形成をおこすということが指摘されています。(Medical Practice 2009:26:p878-879)
角度をみる方法の他にも、今回のようなSchamroth's sign(シャムロス徴候)はLR+8 LR-0.2とばち指に対して比較的有用とされJAMAに2010年に取り上げられています。https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/186209
COPDのみで頻度は低いと考えられており、「COPD患者にばち状指を認めたら、肺癌の合併を疑う」というティアニー氏のクリニカルパールは有名。
他にも
「no teeth, no abscess:歯がない患者の肺膿瘍は、そうでないとわかるまで肺癌」というパールもあり覚えておきたい。